抄録
虚血性大腸炎のtransient type 25症例のうち内視鏡下に経過観察できた19症例21病変について検討して,これを4つのタイプに分けることができた.すなわち,a)びらん→治癒(2病変),b)びらん→不整形潰瘍→治癒(6病変),c)びらん→不整形潰瘍→線状潰瘍→治癒(1病変),d)びらん→線状潰瘍→治癒(12病変)の4型である.なお,不整形潰瘍は本症発生後2週間以内の早期にだけ認められたが,線状潰瘍は早期からかなり遅い時期にも認められた.内視鏡下に判定した治癒期間は最も早いもので10日,平均するとおよそ3週間以内であった.生検組織中で担鉄細胞の沈着を認めたものは5例だけであったが,発生後3日めに2例認めた.