抄録
最近開発された電子リニア走査形超音波内視鏡を胃疾患3例(進行癌1,粘膜下腫瘍2),肝疾患2例(Amyloid tumor 1,転移性肝癌1),肝道疾患1例(胆嚢癌),膵疾患2例(膵癌1,膵石症1)の計8例に応用し,その性能および臨床的意義について検討した. 胃自体あるいは胃周囲臓器(肝,胆嚢,膵,腎,大動脈等)の描出が可能であり,従来の体外走査に比べより明瞭な画像が得られた.しかし,巨大な腫瘤性病変ではむしろ体外走査が優れており,上記諸臓器の比較的小さな病変に有用であった. 今回試作された装置は,種々改良されるべき点を有するが,特にスコープの先端に長さ5cmの探触子(直硬部)を有し,その後部に側視方向の視野をもつため,操作性に難があり,視野をスコープの先端に置くことが急務と考えられた. いずれにせよ,今後の改良により消化器病診断の有力な武器になると確信された.