抄録
ここでは Well-being をめぐる国内外の政策展開をまず概観し,日本においては地方自治体が幸福度指標の策定に先導的な役割を果たしてきた流れを確認する。続いて Well-being をめぐる公共政策のあり方を考える基本的視点として,「ウェルビーイング / 幸福の重層構造」という枠組みを提示し,これを手がかりに Well-being に関する公的部門と民間部門の役割分担を考察する。最後に Well-beingと格差・貧困という公共政策上の重要テーマを取り上げ,特に日本において課題となる,「人生前半の社会保障」の充実強化を通じた,個人が人生において「共通のスタートライン」に立てる社会システムの実現について議論を行う。