抄録
硬X線、ガンマ線による天体観測の革新を図るために、Si両面strip検出器(Double-sided Si Strip Detector ; DSSD)を用いた観測装置の開発が進められている。本実験では我々が浜松ホトニクス社と開発したDSSDを5-80 keV帯域での撮像分光検出器として使うにあたり、信号応答の場所依存性を調べた。具体的には、30 keVのX線ビームを6 μm×6 μmにコリメートしてスキャンすることで、strip間でX線が相互作用した時に生じる、電荷分割イベントの定量的な評価を進めた。strip間での電荷分割イベントが生じる領域サイズを実測したところ、光電子の飛程およびSi内でのelectron-holeキャリアの熱拡散を組み合わせたモデルでよく合うことを確認した。同設計のDSSDは実際に「ひとみ」衛星に搭載されて軌道上で正常に動作した。