抄録
次世代高輝度放射光源を用いたX線 CTR 散乱測定の高速化と、それを用いた Pt (111) 電極表面の初期酸化過程の原子レベル追跡を目的として、角度分散集束X線を作り出して試料の角度スキャンを省略する高速測定法の開発を行った。単色平行化したアンジュレーター光から角度分散X線を作り出す各種光学素子を作製し、角度分散集束X線を作り出すことに成功した。これを用いて、GaAs/AlAs 超格子薄膜試料の CTR 散乱測定を行い、角度スキャン無しで CTR 散乱プロファイルが観察可能であることを確認することができた。他方、電気化学反応のその場観察条件下における Pt (111) 表面電極からのCTR散乱の観察においては、X線の強度不足のために有意な時分割データを取得することができなかったが、今後の改善に向けて、課題を明確化することができた。