抄録
分子組織体の創製とキャラクタリゼーションを総説する。陰イオン性ブロックとペルフルオロ置換ブロックからなる高分子はミセルを形成するが, その大きさはHCIまたはNaClの添加に伴って減少する。この状況は低分子量のイオン性両親媒性分子の場合とは異なる。不斉をもつあるいは分子間で相互作用する官能基をもつ両親媒性分子は繊維状集合体を形成するが, その構造は相互に異なる。繊維状集合体を形成する系が液晶相を示す場合も発見された。分子組織体内で進行する光二量化はべシクルの場合に最も効率的である。生成物の立体異性体選択性は組織体構造のみならず組織体への反応分子の結合性にも依存する。保護剤の存在のもとに構築された金属ナノ微粒子は基板上で二次元に配列する。このとき, ナノ微粒子を保護するアルキル鎖は指組単分子膜または二分子膜配列をとる。デンドリマーを保護剤とするとき, 水に可溶なナノ微粒子が調製される。類似の化学構造をもつ炭化水素系両親媒性分子は二次元ラングミュアープロジェット膜中で混和するが, 色素界面活性剤はアラキジン酸のミクロドメインから相分離する。炭化水素系両親媒性分子と炭化フッ素系両親媒性分子は常に別々のドメインを形成するが, 二つの炭化フッ素系両親媒性分子の混和性は炭化フッ素の鎖長に依存する。種々の表面間相互作用力が両親媒性分子そしてデンドリマーを吸着した表面上で観察される。静電反発, 疎水相互作用, 付着, 溶媒和, そして立体反発力である。