感染症学雑誌
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Vibrio cholerae non-O1による散発下痢症例と分離株の諸性状
松下 秀野口 やよい柳川 義勢五十嵐 英夫森田 耕司和田 博志渡辺 登柴田 幹良金森 政人工藤 泰雄島田 俊雄
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1997 年 71 巻 12 号 p. 1204-1209

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抄録
我々は1996年に, 海外旅行歴のない5症例ものVibrio cholerae non-O1による散発下痢症例を経験した.本報では, これら国内症例と, 同年に本菌が検出された8例の海外旅行者による輸入症例を加えた, 計13症例の概要と分離菌株の諸性状について報告する.
国内症例の発生時期は6-9月と夏期であったが, 輸入症例は1-10月とほぼ年間を通して認められた.主要臨床症状は, 全例が一日最高2-12回の水様性下痢 (平均5.5回), 腹痛10例 (77%), 嘔吐4例 (31%), 及び発熱2例 (15%) であった.
各症例からそれぞれ分離された13菌株の生化学的・生理学的性状はV.choleraeに完全に一致するものであった.血清型別試験では11種に型別され, O2及び05が複数検出された.毒素産生性ではCTは全菌株非産生, NAG-STは2菌株 (血清型O14とO88) が産生性, 溶血毒素は全菌株とも産生性であった.
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© 日本感染症学会
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