感染症学雑誌
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家族内2次感染防御率からみた, FHA Predominant Acellular Pertussis Vaccineの効果
加藤 達夫松吉 秀治五島 敏郎中島 夏樹山本 仁加久 浩文有本 寛水原 春郎
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1987 年 61 巻 11 号 p. 1270-1275

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抄録
我が国で開発され1981年以来用いられている沈降精製百日咳ワクチンAcellular Pertussis Vaccineの臨床効果を評価することを目的として我々は1981年から1986年7月迄聖マリアンナ医科大学小児科で百日咳と診断された96名の患児を対象として, その家族内2次感染の有無についてアンケート調査を行い, Retrospectiveに検討した. 現在我が国で用いられているAcellular Pertussis Vaccineには, 百日咳菌体成分中の線維状赤血球凝集素Filamentous hemagglutinin (FHA) を主に含むFHA Predominanttype vaccineと, リンパ球増多因子又は百日咳毒素, Lymphocytosis promoting factor (LPF) Pertussis toxin (PT) とFHAをほぼ等量ずつ含むFHA-PT vaccineの2製品があり, 国際的には前者は製造社武田薬品工業を略してT type vaccine, 後者は阪大徴研製を略してB type vaccineと呼ばれている. 今回の我々の調査はT type vaccineに対する評価を目的とした. アンケートに返答した数は75例でこの内同胞のいない例が21例あったため実際にRetrospective studyに使用出来たのは54例であった. 同胞の百日咳未接種例は29例でこの内19例 (65.6%) に家族内2次感染がみられた. 一方Ttypevaccine (Takeda) を接種していた13例中には1例 (7.7%) の2次感染が認められた. この結果よりこのワクチンの効果率は88.3%であり, 同時に調査した旧ワクチンの効果率 (79.3%) と同等以上の効果があると思われた.
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