土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
NAPL 吸収多孔体径が Partitioning Interwell Tracer Test(PITT) に与える影響
西脇 淳子宮﨑 毅溝口 勝
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 123 巻 p. 73-79

詳細
抄録
Partitioning Interwell Tracer Test (PITT) は,帯水層に存在する Non‒Aqueous Phase Liquids (NAPL)量を推定するための有効な手法である.NAPL 量は,トレーサーの破過曲線(BTCs)から決定される非分配トレーサーの移動に対する分配トレーサーの遅延係数によって推定される.しかしながら,NAPL が可動性のプール状で存在するような,もしくは汚染が広範囲にわたるような NAPL の高濃度領域がある実際の現場では,すべての PITT において平衡分配が成り立つとは限らない.本研究では,NAPL を吸収させた多孔体の直径に着目して 5 種類の実験を行った.その結果,PITT によるNAPL 量の推定精度はその直径に影響されないことが確認された.一方,BTCs のテーリングは直径に影響されることがわかった.NAPL を吸収した多孔体の直径が大きくなると,トレーサーの多孔体内部での拡散距離が長くなり,それによって BTCs のテーリングが顕著になったと推察された.
著者関連情報
© 2013 土壌物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top