抄録
地球温暖化の視点から,耕起を伴う畑土壌で特に炭素濃度の高い土壌の炭素減耗がより早いとの指摘がなされている.このことから,我が国有数の畑作地帯である十勝地域において特に炭素濃度の高い多湿黒ボク土の炭素動態に注目する必要がある.十勝管内耕地における排水不良土壌に対して,生産性向上を目的とした排水改良工事が組織的に行われてきた.排水不良土壌の代表的土壌である多湿黒ボク土の排水効果が十分発現したと思われる 2007 年にはこの土壌の乾燥化により土壌有機物の分解が促進されていると考えられる.この土壌の有機物の減耗を抑制するための対策が必要であることが示唆される.