抄録
代搔きされた粘土質水田の作土には著しい収縮•膨潤を示す土壌があるが,このような膨潤性土壌の熱伝導率(K)と水分量の関係はよく知られていない。そこで,インドネシアの水田作土土壌の,K,熱拡散係数,及び間隙比一体積含水比関係を測定した。この土壌は,著しい体積変化を示し,現場での間隙比は,湛水条件では2以上だが,乾燥状態では1以下であった。尺は,含水比(w)が0から0.24 g-1g-1に増加する時, 0.60から1.28 WM-1 K-1に増加したが,wが0.24 g-1g-1以上では,wの上昇に伴い減少した。このwの増加に伴う尺の減少は,膨潤土に特有で,間隙比の増加による。現場の乾燥時の尺は0.99 WM-1 K-1で,湛水時の兄とほぼ同じ値であった。このため,この水田土壌は非膨潤性土壌と異なり,表層が乾燥しても日射熱の土中伝導を妨げる効果がない。