抄録
有機質肥料としての利用を目指して近年製造されている様々な家畜糞堆肥からの化学成分の溶出は,土壌中での成分動態に影響する重要な要因である。土壌と堆肥の混合系を用いる従来の溶出測定法では,測定可能な化学成分が限られていた。本研究では,砂と堆肥を混合したカラムを用いた堆肥からの主要な水溶性成分の初期の溶出パターンの測定法を考案し,これを数種類の牛糞堆肥からの成分溶出の測定に適用した。上層に不飽和な砂と堆肥を,下層に飽和した砂を充填した長さ約9.3cm,直径5cmのカラムに一定流量で散水することにより,堆肥からの水溶性成分の溶出パターンをpore volumeによって規格化されたBTCとして評価できることを明らかにした。この方法によって,ペレット化による溶出の遅延やKの初期溶出の増大など初期溶出過程の資材間差が検出された。