抄録
企業では、最近、「自主技術開発型」研究による新製品開発の要請が強まっている。この「自主技術開発型」研究の効率と、その事業化時の事業の成功率を高めるための重要な因子として、次の二つが考えられる。第1の因子は、研究が目的としている製品の市場における成熟度(Maturity)であり、第2の因子はその研究により蓄えられた相対的な力(Competitive Power)である。この二因子をそれぞれX-Y軸とする「研究ポートフォリオ(Research Portfolio)」と従来の生産ポートフォリオ(Product Portfolio)とを相互にリンクさせることにより、新たに「戦略研究マップ」を作成した。成熟度の評価には製品のライフサイクル前半の萠芽期(Embryonic)と成長期(Growth)を採用し、競争力では、潜在力、先行度、特殊性、研究進度の4項目で評価する。研究の現在位置の確認、目標位置の設定、研究の進展の追跡と予測、投入研究資源の配分状況の把握等により、研究者、管理者、経営者が同一マップ上で研究と事業化の戦略・戦術面を検討できるのが、このマップの特徴である。