2022 年 30 巻 3 号 p. 264-269
HFNC(high flow nasal cannula)の終末期患者における利用は,その簡便性・快適性といった特徴から有用性が高いと考えられる.十分なエビデンスが得られている領域ではないが,諸外国の報告もふまえ国内の複数のガイドラインやマニュアルにもその有用性が言及されるようになった.当院でもHFNCの利用頻度は年々増加しており,挿管管理までは行わない間質性肺炎患者での使用においてNPPV(non-invasive positive pressure ventilation)との比較で後ろ向きに検討し,忍容性とQOLの面で優れることを報告した.多くの患者にHFNCを使用した場合,病院内で大量の酸素が必要となること,緩和的な面では吸気の熱感が強く作動音が大きいこと,また在宅利用は保険診療上 認められていないことなど,解決すべき問題点は残されるが,当院での終末期患者での使用状況を実例を交えて紹介した.