2016 年 26 巻 2 号 p. 205-212
【背景】在宅酸素療法(HOT)保険適用から30年が経過し,2014年,全国では16万人以上に普及した.
【方法】長野県でHOT普及に貢献した医療実践として12年間の推移,施行疾患,医療・訪問看護・介護課題,患者支援の実態を全県関連施設への郵送アンケート法で調査し,今後のHOTの展望を考察した.
【結果】地域医療の普及により2015年2月,県内のHOT施行者は5,279名(251名/10万人)と全国推定の127.7名/10万人より多かった.しかし,患者指導者不足,介護施設で施行が困難,災害時対策の不備などの課題があった.3)患者支援体制には,医療機関の呼吸ケアチーム・呼吸器看護外来の他,1.医療介護施設体系整備,2.患者会活動,3.地域ネットワーク形成,の形態があり身体活動性維持への全人的支援がなされていた.地域での患者中心のチーム医療の発展により,HOTは更に有用な呼吸療法へ発展する可能性がある.