在胎28週未満の超早産児は,正期産児と比較して神経発達症のリスクが高く,在胎週数が短いほど認知機能の低下が顕著に認められる.これは胎児期における脳の未熟性および周産期の細胞傷害に起因し,発達段階に応じて多様な症状を呈する.乳幼児期には言語・運動の遅れや内向的な社会性,学童期以降には不注意や学習困難,青年期には精神疾患のリスク,成人期には認知症リスクが報告されている.一方で,診断基準を満たさない症例も多く,支援が遅れる傾向にある.さらに,母親の約4割がうつ症状を経験し,育児行動にネガティブな影響を及ぼすことも指摘されている.本稿では,超早産児と正期産児における神経発達症の臨床的および神経科学的な相違に着目し,脳の可塑性やその臨界期の観点から,妊娠期からの母子包括的支援,ならびに生涯を見据えた早期療育・教育・移行医療の整備の必要性を提言する.