抄録
東日本大震災の被災地で暮らす親子を対象として,2011年から2019年にかけて計10回のキャンプを行った.保護者と子どもそれぞれに対して,心理教育とリラクゼーションを含めた一連のプログラムを提供した.子どもへの心理教育は「こころのおべんきょう」と題して,紙芝居による教示と描画,吹き上げパイプなどの玩具を用いた呼吸法を取り入れた.心理教育の内容は地域の回復時期によって調整する必要があり,日ごろからコミュニティーのなかで子どもたちの状態をモニターすることが大切と考えられた.震災によるさまざまな傷つき体験をしている子どもや,実際に何らかの精神疾患にり患している子どもも参加していた.日常で関わりがある専門職に声掛けをしてキャンプの運営を行うことにより,二次的にコミュニティーのなかのつながりが構築される効果もあると考えられた.