抄録
目的:成人期(17歳以上)に行われたFontan手術の中期遠隔期成績を検討する.対象:1998年以降当院で行われた成人期Fontan手術6例(年齢17~31歳,男性3,女性3)を対象とした.
方法:手術術式,術前カテーテル検査データ,術後遠隔期のNYHA,胸部X線(心胸郭比),BNP,肝機能評価(AST,T BIL),合併症について後方視的に検討した.
結果:手術・病院死亡はなく全例生存中である.両方向性グレン手術(BDG)先行の2期的Fontan手術2例,1期的4例で,術式は心内導管1例,心外導管5例でfenestrationは使用していない.術前肺動脈圧(平均):12 ± 3mmHg,肺血管抵抗:1.05 ± 0.61U/m2,PAI:443 ± 152,手術介入が必要な房室弁の逆流はなかった.術前NYHAは全例Ⅱ度で術後Ⅰ度に改善し術後10年まで1度で経過,心胸郭比も術後10年まで変化なく,肝機能は術後10年で正常範囲内,BNPも経過中不変であった.
結論:成人期Fontan手術の成績は中期遠隔期を含めて小児期での手術と同様に良好であったが,長期の成績はいまだ不明で,今後も注意深い経過観察が必要であると考えられた.