日本小児アレルギー学会誌
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原著
小児期のアトピー性皮膚炎におけるIII群ステロイドとDelgocitinib軟膏を用いた交互Proactive療法の検討
福田 典正吉原 重美
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ジャーナル 認証あり

2025 年 39 巻 3 号 p. 215-221

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抄録

【背景】アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)の管理は治療法の進歩で改善しつつあるが,一部管理に難渋する症例が存在する.

【目的】ステロイド外用薬(topical corticosteroid:TCS)のProactive療法(proactive therapy:PT)で管理不十分なAD患者にデルゴシチニブ(Delgocitinib:DEL)とTCSを隔日併用する交互Proactive療法(alternating proactive therapy:APAT)を施行し有効性と安全性を検討した.

【方法】2022年1月から8月に当院をADで受診した小児54例に皮膚炎症を鎮静化させた後TCS単独のPT群とAPAT群の2群に分け所要評価項目を12週間観察した.

【結果】APAT群は開始後8週から有意にEASIスコア,睡眠VAS,NRS値が低くEASI-50達成率が高かった.副作用は差がなかった.

【結語】TCS+DELのAPATはTCS単独のPTより有効な治療である可能性がある.

小児期のアトピー性皮膚炎の治療でステロイド外用薬単独のプロアクティブ療法に対してデルゴシチニブとステロイド外用薬併用の交互プロアクティブ療法(APAT)は小児患者の皮膚症状と自覚症状をステロイド単独のプロアクティブ療法に比較して有意に改善し、副作用は同等である可能性が示された。 Fullsize Image
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