抄録
食物アレルギーに対する食物経口負荷試験の実施状況を検討するため,西日本小児アレルギー研究会と四国小児アレルギー研究会の会員376名(324施設)にアンケートを送付し,1施設1部の回答を求めた.有効回収率は50%(163施設)で,病院72%(63施設),クリニック42%(100施設)であった.回答者はアレルギー専門医が63名,一般小児科医が100名であった.負荷試験はアレルギー専門医の74%,一般小児科医の38%が実施しており,実施医における,外来での実施数(月平均)は,アレルギー専門医の57%が1-5件,28%が11件以上と回答した.また,一般小児科医の85%が1-5件と回答した.入院で実施していたのは,アレルギー専門医の40%,一般小児科医の23%しかいなかった.アレルギー専門医の87%が,食物経口負荷試験の診療報酬を請求していたが,一般小児科医は38%しか請求していなかった.負荷試験を行いにくい理由として,一般小児科医は,検査するスタッフ,場所や時間の確保に限界があること,即時反応のリスクがあることを挙げ,アレルギー専門医は,さらに,健康保険で定められた負荷試験の回数制限,対象患児の年齢制限も挙げた.多くの患児が安全で有効に負荷試験が実施できるように,研修システムを確立し,同時にアレルギー専門医における食物経口負荷試験の適応を拡大することが望まれる.