日本口腔腫瘍学会誌
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上顎歯肉扁平上皮癌の治療成績
鄭 漢忠北田 秀昭榊原 典幸山下 知巳牧野 修治郎佐藤 明野谷 健一福田 博中村 博行喜田 正孝
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1996 年 8 巻 3 号 p. 136-142

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抄録
1990~1993年までの間に当科で根治的に治療した上顎歯肉扁平上癌一次例43例の原発部制御率, 頸部制御, 5年累積生存率について検討した。
病期分類はI期: 4例, II期: 13例, III期: 9例, IV期: 17例であった。原発部亜分類では前方型3例, 側方型29例, 後方型11例であった。初回治療法は手術単独11例, 手術を主体にした複合療法27例, 放射線単独5例であった。原発部制御率は手術症例で65.8%, 放射線単独で20%であった。側方型のT4症例ならびに後方型の原発部制御率は不良であった。原発部制御率を向上させるためには, 口外法によるアプローチが必要であり, 放射線の併用が必須であると思われた。頸部の評価が可能であった6例8側中4例6側に頸部制御が得られた。これら4例中2例は反対側頸部非制御, 2例は遠隔転移死であった。また6例中5例は両側転移であった。これらのことから, 初診時頸部転移を認める症例や側方型のT4症例では, 原発部の手術と同時に予防的に健側あるいは両側の頸部郭清術を行うことも必要であると思われた。5年累積生存率は手術症例で50.2%, 全例で42.9%であった。
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