情報知識学会誌
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論文
オブジェクト共有空間を用いた並列遺伝的アルゴリズムにおけるノアの箱舟戦略の検討
飯村 伊智郎池端 伸哉中山 茂
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2003 年 13 巻 2 号 p. 1-17

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抄録
 遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm : GA)には,集団内で同じ個体が急増するなどして,集団の多様性が失われてしまう過剰収束という好ましくない現象が生じ得る.一旦過剰収束が起こると交叉はその機能を失い,GAによる探索が殆ど意味のないものになってしまう.この過剰収束を回避して多様性を維持することが,GAを適用する際の重要なポイントとなる.本論文では,まず,並列GAの実装形態として,柔軟な分散並列処理の構築を提供し得るオブジェクト共有空間を用いた実装を提案する.次に,できる限り単純な仕組みで過剰収束を回避する手法として,並列GAにおけるノアの箱舟戦略を提案し実験によりその有用性を明らかにする.この手法は,進化の停滞した部分集団の個体の殆どを探索解空間から新たに迎え入れた個体群と入れ換えるものであり,非同期に均質個体を淘汰し集団の多様性減少に制限をかけることで過剰収束を回避する.
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© 2003 情報知識学会
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