日本集中治療医学会雑誌
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ICUにおける持続鎮静抵抗性に関与する因子の検討
森村 尚登谷口 英喜後藤 正美中村 京太清水 誠山口 修磨田 裕杉山 貢
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2001 年 8 巻 4 号 p. 333-340

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抄録
ICUにおいて持続鎮静に抵抗した症例の臨床経過を検討し抵抗性に影響する因子を明らかにすることを目的とした。デザインは観察ケースコントロール研究。1995年6月から1998年1月までに救命救急センターICUに収容した1,165例中16歳以上で気管挿管および人工呼吸下に持続鎮静された70例(45±2歳,男性53例,女性17例)について臨床像を調査し,持続鎮静抵抗群(14例)と非抵抗群(56例)の2群に分類して比較検討した。持続鎮静抵抗群ではICU滞在日数,人工呼吸器管理日数が長い症例,全身炎症反応性症候群(SIRS)症例,フルニトラゼパム使用例,持続血液浄化施行例,ステロイドとエリスロマイシンの長期使用例が有意に多かった。持続鎮静抵抗性の発現に影響するのは,鎮静開始早期は炎症の持続または感染の併発による代謝性因子,開始2週間前後においては前者に加え集中治療長期化による中枢性因子であることが示唆された。今後は対象疾患および鎮静薬の使用条件を一定とした前向き研究が必要である。
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