日本集中治療医学会雑誌
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血清サイトカイン濃度の推移を検討し得た治療抵抗性EBウイルス関連血球貪食症候群(EBV-AHS)の一例
斉藤 智誉野間 祥子河野 安宣石原 晋坂井 晃兵頭 英出夫八重樫 泰法遠藤 重厚
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2006 年 13 巻 4 号 p. 457-462

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抄録
治療抵抗性であったEBウイルス関連血球貪食症候群(Epstein-Barr virus-associated hemophagocytic syndrome, EBV-AHS)症例における血清サイトカイン濃度について検討した。症例は30歳,男性。近医にて,重症感染症,disseminated intravascular coagulation (DIC)で加療中に急性腎不全を呈し,当院に紹介転院となった。ICU入室後,人工呼吸管理下に持続血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)を開始した。翌日,臨床症状,血液検査などから骨髄穿刺を施行し,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome, HPS)と診断した。重篤な肝機能障害のため免疫化学療法は施行せず,ステロイドパルス療法,血漿交換療法(plasma exchange, PE)を施行した。治療開始時の血清サイトカイン値は高値を示し,予後不良であったことが示唆された。また,サイトカインバランスに関しては抗炎症性サイトカインが優位な免疫不全状態であった。ステロイドパルス療法,PE施行後,サイトカインバランスは改善したが,臨床症状の改善には至らなかった。本症例のような重症例に対しては,早期の治療開始と,より有効なサイトカイン調節が必要であると考えられる。
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