日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
急性アルコール中毒として搬送された急性心筋梗塞の2例
島田 恵馬場 彰泰原田 厚子芹澤 宏赤石 誠
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2011 年 14 巻 3 号 p. 462-466

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抄録

症例は41歳男性と52歳男性。夜職場の会合でアルコールを多飲,アルコール摂取後2~3時間で前者は息苦しさを,後者は上腹部痛と嘔吐を認め,救急要請あり,当院に急性アルコール中毒の事例として搬送された。来院後,前者は胸部不快を認めたためすぐに心電図を施行し,前胸部誘導のST上昇を認め,急性心筋梗塞の診断を得た。一方,後者は腹痛の症状だったため,アルコール多飲に伴った消化器症状と判断されたが,疼痛が激烈だったため当直医が入院治療の判断を行い,心電図を施行し,前胸部誘導のST上昇を認め,急性心筋梗塞の診断を得た。急性アルコール中毒は頻繁に経験する救急事例であるが,通常点滴治療のみで一時的な外来あるいは入院治療で経過をみることが多い。しかし,アルコール摂取という点ばかりに注目して本症例のような内因性疾患を見逃さないように,救急搬送時あるいは救急外来での的確な初期トリアージが重要と思われたので報告した。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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