1999 年 3 巻 2 号 p. 28-35
近年,摂食・嚥下機能の診断・評価法として,VF検査が多く行われている.しかしながら,VF検査の結果から摂食・嚥下運動動態や,機能の回復程度を検討した報告は散見するのみである.今回,口腔・咽頭領域の腫瘍摘出後患者におけるVF検査から得られるビデオ画像から,運動動態を時系列再構築像として描出し,摂食・嚥下機能動態を客観的に評価する方法を試みた.口腔・咽頭領域の腫瘍摘出後患者3症例に対するVF検査から得られたビデオ画像を用い,舌,喉頭蓋の嚥下時の運動動態を時系列画像解析システムにて再構築像として描出,解析した.トレース後の時系列再構築像を各部位の運動動態が明確に観察できるよう,舌運動はトレース像を37度,喉頭蓋運動はトレース像を8度シフトさせた再構築像を描記した.摂食・嚥下機能訓練前後において3症例それぞれの舌,喉頭蓋の運動動態の改善が定量的,定性的に評価し得た.摂食・嚥下機能訓練前後の各部位の運動動態を客観的に評価する上で,ビデオ画像を時系列再構築化する本システムは有効な方法であると考えられた.また,軟組織の摂食・嚥下運動に伴うその形態が変化していく様子を観察,評価するのに適したシステムとも考えられた.