2022 年 78 巻 1 号 p. 22-32
地下空洞や山岳トンネル建設時の掘削面である切羽の安定性は,地下空間建設時の安全に直接影響を与える問題であり,これまで数多くの研究が行われている.しかし,地下空間掘削によって出現する切羽面は当然不均質であるにも関わらず,これらの研究の多くは地山物性の空間的な不均質性を考慮しない解析が一般的である.そこで本研究では,ランダム場理論に基づき主に軟岩地山における地山物性の空間的な不均質性を考慮したトンネル切羽の安定解析を実施した.その結果,地山の不均質程度の違いにより切羽面の変位や切羽周辺地山の最大せん断ひずみに及ぼす影響が変化することがわかった.また,地山物性の空間的な不均質性がトンネル切羽の安定性に及ぼす影響を適切に評価する必要がある地山条件を明らかにした.