2021 年 77 巻 2 号 p. I_44-I_52
京都府福知山市は,近年大雨による洪水や土砂災害を頻繁に経験している.その影響もあり,住民の災害への意識が高まっており,地域と行政が連携し,地域における避難を検討する取り組みが行われてきた.その中で,ローカルエリアリスク情報という地域の避難のきっかけとなるリスク情報を地域と行政が共同で検討し,地域における避難につなげる取り組みも進められている.この取り組みの特徴として,地域の特性や住民の考えに基づく各地区独自の多様な手法が用いられている点が挙げられる.本研究では,このような避難のきっかけとなる「ローカルスイッチ」の形成過程やその特徴に着目し,ローカルスイッチ形成における地域と行政の連携状況や関係を分析する.そして,受け身になりがちな避難情報に対し,地域と行政が地域における避難を共同で検討することの効果や意義を考察する.