2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16070
近年,気候変動に伴う豪雨災害は激甚化・頻発化しており,洪水氾濫被害軽減のためには,洪水氾濫状況をリアルタイムにモニタリングし,適切な避難行動に結びつける必要がある.そこで本研究では,車両通行情報に着目し,車両通行情報と河川氾濫の様態の関係を明らかにするとともに,リアルタイムに洪水氾濫モニタリングを行い,避難情報に適した形での洪水氾濫モニタリング手法を提案した.その結果,50cm以上の浸水状況と車両通行状況は有意な関係があることが判明するとともに,浸水が確認された道路では相対的に通行速度の低下が確認された.最終的には道路を通過する車両の有無状況から地域標準メッシュ単位で浸水範囲を推定し,避難情報を出しやすくした.この手法は車両交通量が多い昼間の浸水範囲を評価する上で基本的な妥当性を有することが示唆された.