2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16046
本稿では,田んぼダムの洪水調整機能が評価できる氾濫解析モデルを開発し,数理計画的に田んぼダムの具体的な最適配置を探索する手法を提案した.氾濫解析モデルには,非構造格子氾濫解析モデルに田んぼダム機能を追加したモデルを使用した.最適配置の探索には遺伝的アルゴリズムを使用し,田んぼダムのon(1)/off(0)を遺伝子配列として表現した.高時川流域の河川合流部に霞堤・複数の水田がある一部地域で適用した結果,水位が低減する配置を効率的に探索することができた.水田の貯留能力を超えない降雨に対しては配置による水位低下量は小さく,配置を考慮しなくても効果が期待できることが示唆された.一方で,水田の貯留能力を超える降雨に対しては配置による水位低下量は大きくなり,配置を考慮することが重要であることが示唆された.