2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25009
ダムや堰の取水口にウナギが迷入すると高確率で死に至る.迷入防止対策として魚の忌避色を取水口付近に塗装する手法が挙げられる.色は色相,彩度および明度の三属性を有する.杭水制の明度の低下に伴いニホンウナギの杭水制利用率が増加するとの知見は存在するものの,色相および彩度がニホンウナギの遊泳挙動に及ぼす影響は未解明である.本研究では円形プールを2等分割し,片側壁面色の三属性を固定し,もう片側壁面色の二属性を固定して一属性のみを変化させてニホンウナギの挙動を観察した.その結果,色相および彩度はニホンウナギの遊泳挙動に影響を及ぼさないこと,また,明度の増加に伴い高明度領域を忌避する傾向が顕著となり低明度領域の遊泳時間が増加すること,さらに,低明度から高明度領域への進入速度が減少することが解明された.