2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20043
交通事業者のみならず,自治体や企業など複数関係者が協議しながら全体最適の視点で地域固有の交通課題の解決をめざす,エリアマネジメントの重要性が高まっている.本研究では朝ピーク時間帯の混雑平準化を目的とした地域全体での時差出勤施策の実現に向けて,自治体や個々の企業などに負担をかけずに複数職場エリアの出勤時刻実態を提供できる交通ビッグデータ活用方法の開発に取り組んだ.任意の場所に対してユーザ毎,日毎に到着時刻を抽出できるユーザ識別子付きのスマホ位置情報に着目し,大規模事業所エリアを対象とした出勤時刻分析手法を提案した.2024年に大規模工場の稼働開始を予定しており渋滞悪化が懸念される熊本県を対象に実験を行い,実際の出勤記録と照合して提案手法の有効性を確認し,研究成果を熊本県の協議会に提供した.