抄録
本研究室では,下水道資源を活用した自然発生微細藻類の培養技術の確立および培養藻類のエネルギー利用手法の検討を行っている.本研究では,下水道資源である下水汚泥を,生下水による藻類培養に活用することで藻類培養の効率化を行うことを目的とし,ラボスケールで2~3週間の藻類培養実験を行った.その結果,余剰汚泥を生下水に比較的低濃度で適当量混合し,藻類培養の基質として利用することで,藻類培養量を増加させられる可能性が示唆された.また,汚泥の添加は,藻類への栄養塩の供給,基質中の溶解性有機物の除去の効率化,藻類数や光合成細菌の増加,藻類培養の光合成に必要なCO2の添加量の削減,高位発熱総量の増加が見込める可能性が示唆され,藻類培養によるエネルギー回収量の増加に寄与する可能性が示唆された.下水汚泥を有効的に利用することで,下水処理場における自然発生微細藻類培養システムの高効率化の可能性が示された.