抄録
東日本大震災の被災地では,多様な主体により多様な内容・方法で震災伝承の取り組みが行われている。本研究は,来訪者の特性に応じた効果的な被災地訪問学習を明らかにするために,来訪者の防災力と訪問目的によって来訪者を4 つにセグメント化し,防災行動変容に効果的な学習内容・体験内容を明らかにすることを目的として,質問紙調査および分析を行った。その結果, 1 )震災遺構の内部や震災前の町並みが更地になっている様子の見学と,語り部・ガイドの話を聞くことが多くのセグメントで共通して効果が高いこと, 2 )訪問前の防災力が低く震災学習を目的としていない来訪者では被災地の人々との交流が最も効果が高いことなどが明らかになった。