2025 年 25 巻 1 号 p. 37-50
近年、学校現場において、教育データの利活用が推進されている。これまで、教育データから導き出されたエビデンスを実践の改善につなげようとするEvidence Based Practiceの在り方について、その功罪について議論されてきた。しかし、様々な諸要因が絡み合う学校現場において、実践的示唆が乏しい。そこで、本稿では、「EBP的思考」を展開する学校を調査対象とし、何がきっかけで、何が起こり、学校組織や教師個人がどのように変容したのか事例的解明に取り組んだ。複数職員へのインタビュー調査の結果、「探求心や受動的きっかけ→EBP的思考の共有→チーム形成→実践(教育データ会議・授業実践)・EBPメンター→リフレクション→EBP的思考の定着」といった一連の変容が確認された。本研究を通じて、EBP的思考のリフレクション、EBPメンターの存在、EBP的思考の醸成の意義が示唆された。