抄録
Sociometric testにおける2段階地位指数法の定式化に際し, 1段階的被選択数に対する2段階的被選択数の効果性の比率を実験的に求める研究の一部として, 本実験においては2段階的被選択数の変化が如何なる値を超したとき, 一定の行動的効果性の変化を生ずるかを検討した。
従来の狩野の実験の方法と同じく, 中学校生徒に勉強, 遊び, 相談の選択規準によるsociometric testを行い, 1段階的被選択数が等しく2段階的被選択数が異る条件で2人1組の対を構成し, それらの対の2者について影響力, 社交性, 信頼感, 人気, 学力の5項目について4人の教師が独立に比較評定した。対は2段階的被選択数の差の大きさ (1, 2, 3, 4, 5, 6以上) によって構成された。
結果によると勉強の規準では2段階的被選択数の差が5を超したとき信頼感と学力に, 遊びの規準では5を超したとき社交性に, また相談の規準では5を超したとき社交性, 学力, 6を超したとき影響力, 信頼感にそれぞれ比較評定に5%水準で有意な差がみとめられた。すなわち規準によって有意な差の生ずる項目は異っているが, 差が認められる場合についていえば, 2段階的被選択数の差が大体において5を超した場合であるといえる。