抄録
アワノメイガ幼虫の生存率,増体重に及ぼすトウモロコシの生育段階の影響について岩手県盛岡市の圃場で調査し,また,温室内で播種時期を変えて栽培したトウモロコシにアワノメイガを接種して調査した。
その結果,圃場においてアワノメイガ第1世代幼虫はトウモロコシの栄養生長期から生殖生長期を,第2世代幼虫は登熟期を摂食した。これらの幼虫の生存率は第2世代が第1世代より高い傾向を示した。また,蛹体重は第1世代が第2世代よりやや重かった。
温室内における実験の結果,生殖生長期以後のトウモロコシを摂食した場合に幼虫食入時,及び生長期間の生存率は高かったが,栄養生長期のトウモロコシを摂食した幼虫は食入時の生存率が低いばかりでなく,生長期間の生存率も低かった。生殖生長期後期から登熟期前期のトウモロコシを摂食した幼虫の体重は最も重くなり,これよりも若い時期あるいは登熟の進んだ時期のトウモロコシを摂食した幼虫の体重は軽くなり,これは蛹体重にも反映された。これらの結果から,圃場におけるアワノメイガ幼虫の生存率,増体重は摂食するトウモロコシの生育段階に影響されることがわかった。