抄録
1965∼1969年にかけて,北海道内のいろいろな植生条件をもつ91地点でハンドソーテング法を用いて,ツリミミズ類の生態的分布を調査研究し次のような結果を得た。
1) ツリミミズ科の次の種類が海岸から高山にかけて分布していた:サクラミミズAllolobophora japonica MICHAELSEN (A, B型),クロイロツリミミズA. caliginosa (SAVIGNY),バライロツリミミズA. rosea (SAVIGNY),キタフクロナシツリミミズBimastus tenuis (EISEN),シマミミズEisenia foetida (SAVIGNY),ムラサキツリミミズDendrobaena octaedra (SAVIGNY)。
2) ツリミミズ科はしばしばフトミミズ科と混生していたが,土地が耕起された場合標高が高くてもフトミミズ科の個体数の割合が増大し,土地利用形態が2科の個体数の割合を決定する因子の一つであった。
3) 各種類の生息地間の類似性(AGRELL指数)は,いろいろな植生と土壤型で採集されたサクラミミズA型とムラサキツリミミズの間にわずかに認められた以外は,ほとんどなかった。
4) 調査地点は植生条件によって13の植生型に大別され,このうち次の2組の型間にツリミミズ群集の高い類似性がみられた(RENKONEN指数):広葉樹林-天然林破壊跡二次植生;原野-採草地。これらの4植生型ではサクラミミズA型とムラサキツリミミズが優勢であった。