【目的】深夜業務の有無による生活習慣の違いを調査し、深夜業務のある男性就労者の生活習慣と大腸がん罹患リスクとの関連について検討する。
【対象と方法】対象は2016年4月から2017年3月までに当協会で全国健康保険協会の生活習慣病予防健康診断を受診した男性就労者。このうち大腸がん検診受診者、深夜業務あり4,087人、深夜業務なし28,668人について特定健康診査による22項目の標準的な質問票と、当協会独自のアンケートを用いて食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒等の生活習慣を調査した。
【結果】「深夜業務あり」では「深夜業務なし」に比較して、食事のタイミングでは「朝食を抜く」、「夕食後に間食(3食以外の食事)をとる」、「就寝前の2時間以内に夕食をとる」が有意に高かった。同じく食事内容では「バランスは考えない」、「野菜類が少ない」が有意に高かった。また、「深夜業務あり」では「睡眠で休養が十分とれている」とする割合、「運動している」割合が有意に低く、「喫煙」者の割合が有意に高かった。「深夜業務あり」では「運動や食生活等の生活習慣改善」について「改善するつもりはない」の割合が有意に高かった。
【考察】深夜業務のある就労者では、食事や睡眠の乱れ、運動実施者が少ない、喫煙者が多い等の生活習慣も体内時計の乱れを助長し、大腸がんのリスク増加に関与している可能性が示唆された。