2018 年 13 巻 3 号 p. 193-204
キャピラリーバリア(以下CB)は,降雨浸透制御技術の一つとして利用され,砂層と礫層の保水性や透水性などの違いにより,その機能が発揮される。これまで,室内レベルの土槽実験により,保水性やCB限界長の評価が行なわれてきているが,CB地盤を設計する上で,重要なパラメータである限界長を,数値シミュレーションにより評価した事例は見られない。本論文は,前記課題に対応するため,室内実験により得られている限界長の観測結果に対して,斜面CB層を有する浸透現象を2次元の数値シミュレーション(HYDRUS-2D)で再現できるかどうかを検討し,限界長と底部流出量分布に着目して数値シミュレーションの適用性を評価したものである。その結果,数値シミュレーションの結果は,実用可能なレベルで大型土槽の実験データに対する再現性を示すことができ,CB の設計に適用できる可能性を明らかにした。