教育メディア研究
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情報教育と国語教育の類似性 : 形から入る学習文化の課題(<特集>メディア・リテラシー教育の現状と課題)
牧野 由香里
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2005 年 11 巻 2 号 p. 67-72

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抄録
漢語という言語メディアを手にして以来,日本ではメッセージの科学的分析よりも身体で覚えるメディア習得が優先されてきた。和語と漢語の共存が続いた江戸時代までは多様な文字と音が混在していたが,明治の近代化により国家政策として日本語の体系化が進められた。その結果,現代日本語という言語メディアが確立した。この間,国語教育では形から入る学習文化が継承された。一方,通信メディアを扱う情報教育は国語教育の足跡をたどっているかに見える。ちょうど「形」と「実」の有機的な結合が成立しない国語教育のように,情報教育においてはメディアとメッセージの有機的な結合は実現していない。形から入る学習文化の課題は,人間のコミュニケーション活動に含まれる複合的な能力を包括するパラダイムの構築である。
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© 2005 日本教育メディア学会
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