抄録
ここ数年,農山村に関する書物が多く刊行されている.高度成長期に都市の職場が急激に増え,農山村の後継者までもが都市に流出したことが,過疎問題の社会的本質である.1970年に過疎法ができ,2010年の拡充でソフト事業にも充当できるようになった.過疎地域の暮らしには,機械に支えられた大規模な農業にはない,自然を扱う人のワザが満ちている。これを人間論的価値と考えたい.その価値を見えやすくするためには,外部人材との交流が必要である.このことが諸事業で普遍化されていることは意義がある.近年全国各地で,地域で支え合う新しいしくみや,経済を活性化する取り組みがかなり生まれてきていることは喜ばしい.