経済地理学年報
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インドにおける長距離青果物流動 : デリー・アザッドプル市場を事例として
荒木 一視
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1999 年 45 巻 1 号 p. 59-72

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抄録
本研究の目的は, デリー市アザッドプル市場の市況情報と出荷台帳をもとに, インドの青果物流動を明らかにすることである. アザッドプル市場は多くの青果物を扱うが, 主要10品目を分析対象とした. その結果, インドの青果物流動がインド亜大陸をカバーする極めて広い範囲で展開されていることが明らかになった. その背景には輸送力の拡充や冷蔵技術の普及などの技術的な条件が整備されたことが指摘できる. しかし, 実際の流動パターンは作物ごとの単価と輸送費, 腐敗性と移動距離によって輪郭が描かれ, 端境期出荷や輸送手段による差益が長距離輸送を動機づけていると考えられる. 加えて, 消費部門の動向, 特に人口の急増に伴うデリーの巨大需要の出現も重要な意味を持っており, 将来的にインドの青果物流通パターンをさらに変容させる潜在的可能性を持っている.
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© 1999 経済地理学会
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