日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究者の働きかけによる保健活動と保健師の変化 : 難病保健活動を改善したアクションリサーチ事例より(地域看護活動報告)
中山 貴美子岡本 玲子赤松 佳代鳩野 洋子塩見 美抄岩本 里織
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2005 年 7 巻 2 号 p. 33-39

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抄録
本研究の目的は,研究者が現場の課題を解決しようとしていた保健師と協同して活動を展開した1事例より,その過程をアクションリサーチの視点から分析し,研究者の働きかけおよび,それによる保健活動と保健師の変化を明確化することである.対象は,保健所に勤務する保健師である.本研究結果として,保健活動の変化では,「難病保健活動における保健師の専門性の不明確」から「保健師の専門性の明確化」「保健師の専門性を活かした活動の展開」「他地域への成果の波及」「他分野での継続的変化の促進」までの5局面が明らかになった.保健師の変化では,「混沌」から「自己の専門性の気づきと内省」「意識と行動の変化」「継続的自己研鑽」「継続的変化促進者」までの5局面が明らかになった.また,結果を生んだ研究者の働きかけの8つのねらいと,15の特徴が明らかになった.研究者のねらいは,「保健師が根拠をもって,自己の専門性を明確化できる」「保健師集団として活動が改善・定着する」「実践における研究の実施と成果生成」等であった.働きかけは,「対話や既存ツール活用によって,保健師自身が自己の専門性や活動の課題に気づく過程を促進する」「保健師集団が経験を共有する過程を重視し,保健師集団として活動が定着するように支援する」「(研究者の)協同研究参加を活用し,保健師が研究のプロセスをふんで活動できるように支援する」等であった.本研究過程を通して,保健所保健師の専門性を活かした活動への変化や,保健師の意識や活動が変化し,継続的に実践を変化させる展開がみられた.今後,現場の課題解決のための効果的な支援について検討していきたい.
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© 2005 一般社団法人 日本地域看護学会
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