抄録
本研究の目的は,COPD 患者の外出制限の一指標である歩行距離低下の影響因子を抽出し,そのカットオフ値を算出することである。対象は,男性 COPD 患者44名(年齢77.4±6.4歳)であった。方法は,対象を外出制限が生じるとされる6分間歩行距離(6MWD)400m以下群と401m以上群に分け,身体機能の比較を行った。さらに有意差を認めた項目を独立変数,6MWD を従属変数とする多重ロジスティック回帰分析を行い影響の強さを検証した。そして抽出された項目をROC 曲線にてカットオフ値を算出した。結果,多重ロジスティック回帰分析で mMRC(p<0.05),%膝伸展筋力(p<0.05)が抽出された。また,そのカットオフ値は,mMRC が Grade2(感度0.880,特異度0.737,AUC =0.875),%膝伸展筋力は53.6%(感度0.789,特異度0.880,AUC=0.897)であった。本研究の結果から,COPD 患者の外出制限に影響を及ぼす因子は mMRC 息切れスケールと%膝伸展筋力であった。