抄録
【目的】疼痛を有する運動器不安定症外来患者を対象に,理学療法士によるセルフエクササイズの指導を実施し,その経過を調査することである。さらに,運動機能の改善に影響を及ぼす因子を検討することである。【方法】運動器不安定症と診断され疼痛を有する32名を対象に,月1回セルフエクササイズの指導を6か月間実施した。初回と6か月後に運動機能を測定し,比較した。また,性差,年齢,各要素の変化量と初回の運動機能との関係を検討した。【結果】6か月後に股関節外転可動域,疼痛,バランスが有意に改善した。また,性差に関わらず75歳未満の対象者で運動機能が向上し,初回の測定値と変化量については股関節外転関節可動域,疼痛,バランスで有意な負の相関があった。【結論】疼痛を有する運動器不安定症外来患者に対しセルフエクササイズを指導した結果,75 歳未満で運動機能レベルの低い対象者ほど運動機能改善に効果的である可能性を示した。