日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡検査所見が診断に有用であった虫垂粘液嚢胞腺癌の1例
毛利 貴羽田 丈紀安江 英晴後町 武志篠田 知太朗田中 知行増渕 正隆千葉 諭矢永 勝彦
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2006 年 48 巻 7 号 p. 1447-1451

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抄録
症例は80歳,女性.右下腹部痛を主訴に近医受診し,精査目的で当院婦人科紹介され,腹部CTで右下腹部に一部膀胱に接する嚢胞性病変認め当科紹介となった.下部消化管内視鏡検査施行したところ,虫垂開口部の開大と同部の粘液貯留所見を認めた.膀胱鏡では潰瘍を伴う浮腫状の粘膜が観察された.以上より膀胱浸潤を伴う虫垂粘液嚢胞腺癌を強く疑い,回盲部切除術および膀胱部分切除術を施行した.切除標本では虫垂壁は肥厚しており,虫垂内腔にはゼリー状の粘液が充満していた.虫垂の粘液嚢胞腺癌の内視鏡検査では粘膜下腫瘍を思わせる隆起性病変の報告はあるが,実際に虫垂開口部の粘液の貯留を確認できた症例は稀と考え報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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