日本消化器内視鏡学会雑誌
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単純性腸潰瘍5症例の検討
貴島 芳彦山本 光成榎本 平之吉田 賢哉黒田 了文小川 弘之伊藤 裕章中村 秀次
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2002 年 44 巻 4 号 p. 780-787

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抄録
 当科で経験した単純性腸潰瘍5症例について臨床的特徴を検討した.初期の消化器症状として,腹痛,血便は全例に認められた.下痢は5例中4例(80%)に,また繰り返す血便も4例(80%)に認められた.合併症として,口腔内アフタは5例中4例に認められ,その内2例は難治性の深い咽頭潰瘍を有した.難治性の深い咽頭潰瘍を有する症例は,より穿孔や反復性血をきたす加能性が高いと思われた,回盲部潰瘍のみならず上・中部小腸にも病変を有する2症例においては経過中腸穿孔が認められ,上・中部小腸に病変を有する症例では穿孔を起こす危険性が高いと思われた.緩解導入・維持には栄養療法,Salazosulfapyridineあるいは5-aminosalicylic acid療法が必要であった.また,5例全例にステロイド投与がなされており,内4例では潰瘍の治癒傾向,瘢痕化が一時的には得にれており,ステロイト治療は緩解導八に対して少なくとも短期的には効.果か認められた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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