日本消化器内視鏡学会雑誌
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直腸癌の進展度診断に対する超音波内視鏡検査の有用性と問題点
井上 雄志村田 洋子林 朋之鈴木 衛渡辺 和義吉田 勝俊亀山 健三郎高柳 泰宏長廻 紘鈴木 茂
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1994 年 36 巻 9 号 p. 1711-1718_1

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抄録
 1990年4月から1993年8月までに教室で術前に経直腸的超音波内視鏡検査(以下EUS)を施行した直腸癌切除例は79例である.このうちEUSにて壁深達度PM'以浅およびリンパ節転移陰性と診断し,自律神経温存手術を選択した21例を対象として,癌の進展度診断に対するEUSの有用性を検討した.壁深達度診断は18例(86%)は正診できたが,3例は過小評価した.これら3例は一部でpm層より深く浸潤している症例であった.リンパ節転移では19例(91%)に正診可能であったが,false negativeの2例は1例が微小転移例,1例が腫瘍と離れた部位に転移が認められた症例であった.EUSによる直腸癌の進展度診断は大変高い評価が得られ,直腸癌の術式決定に有用な検査法であると考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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