日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸球部の血管透見像に関する検討
高升 正彦布施 好信川本 克久藤野 博也古谷 慎一辻 秀治堀口 雄一内田 秀一今村 政之森田 雅弘児玉 正瀧野 辰郎
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1989 年 31 巻 2 号 p. 409-414_1

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抄録
通常内視鏡下に観察される十二指腸球部の血管透見像および"liver area"について成人300例を対象に検討した.両所見とも加齢とともに増強する傾向がみられ,また,女性でより高頻度,高度に認められた.一方,十二指腸潰瘍症例では血管透見像はほとんど認められなかった.また"liver area"を有する症例はそのほとんどが血管透見像を伴っていた. 切除標本を用いて血管透見像の有無別に十二指腸球部を組織学的に検討したところ,絨毛の高さ,密度には有意の差を認めなかったが,Brunner腺の厚みには有意の差がみられた. 以上のことより,十二指腸球部の血管透見像と"liver area"の出現要因の1つとして加齢の関与が考えられるとともに,血管透見像は絨毛形態よりもBrunner腺の厚みと密接な関連を有することが示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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